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2026年北中米W杯の音楽のあれこれ話

4年に一度のお祭りワールドカップがやってきた! サッカーの話をすると、どのチームでももうただの応援になってしまうので、ここではW杯の音楽にまつわる話をゆるっと書こうかなと思います。 え、サッカーと音楽?と思う方もいるかもしれませんが、案外関係があるといいますか。 W杯のプロモーションという枠だけじゃなく、サッカーの文化としての根底には、音楽との融合がずっとあるのかなと思っています(特にイギリスの場合) サッカーは同じチームを応援する人がスタジアムに数万人単位で集まってきます。スタジアムで体感する数万人との応援の一体感という集団体験は、音楽ライブで一つのアーティストを前にして観客が共有する体験とよく似てると思うんですよね。 チャント(応援歌)を歌い、声を合わせて選手の名前や応援の言葉を声にして(コーレスかな?)、同じ瞬間に歓喜したり落胆したり。試合の後に勝利を祝って歌を歌ったりという集団体験は、サッカーと音楽をよく結びつけているように思えます。 では今回の大会を見ていて個人的に気に入った音楽の話をしていきましょう。 Dai Dai - Shakira 一つ目はプロモーションソングの話。 FIFAは近年大会ごとに公式ソングやアルバム用意するのだが、そのプロモーションとして選ばれる筆頭がコロンビア出身のシンガー、シャキーラ。 かれこれ2006年のドイツ大会の時から公式ソングを歌っているというから、もう20年!すごい! 2010年の南アフリカ大会の公式ソング『Waka Waka』がとんでもなくヒットしたことは、もしかしたらサッカーをあまり知らない人も、洋楽好きだったら覚えている人がいるかもしれない。 自分的にはどうしてもこの曲を聴くと、ブブゼラが巨大な羽音のようにブーブー鳴り響いていた2010年の記憶を思い出してしまう。 と、過去の話は置いといて、今回の北中米W杯の公式ソング『Dai Dai』は、シャキーラとバーナ・ボーイのコラボ楽曲だ。 シャキーラらしいラテンポップに、バーナ・ボーイのアフロビートの融合だけじゃなく、サビの部分では「Dai dai(イタリア語), Ikó(日本語の行こう), dale(スペイン語), allez(フランス語), let’s go(英語)」と多言語でコーラスが入るし、サッカープレイヤーのレジェンドの名前や参加国の名前が挙げられるなど、サッカー...

音楽で振り返る二人の旅|『プロジェクト・ヘイル・メアリー』

イベントの原稿を書き終えた翌週、無事に原作小説を読み終えた。 少しばかり映画のネタバレを踏みつつも、公開から遅れること二週間、ようやくスクリーンへと足を運ぶことができた。原作を先に通過したからこそ、タイムラインの取捨選択について色々と語りたい贅沢な葛藤はあるものの、何よりあの壮大な物語を久々に大画面で目撃できたという「映画体験」そのものに、深く満足している。 映画館を後にしたとき、その濃密な余韻を頭の中で反芻するには、やはりサントラを聴くのが一番の方法だ。 今回は、劇中を彩った挿入曲たちを振り返る。 耳馴染みのある名曲から、初めて出会った曲まで、全13曲。 ここから先は映画と原作の核心(ネタバレ)に深く触れていくため、未見の方はぜひ、宇宙へと旅立つ前に本を開くか、劇場のシートに身を沈めてから戻ってきてほしい。 1. Sunday Mornin’ Comin’ Down / Kris Kristofferson カントリー歌手であり、俳優でもあるクリス・クリストファーソンによって書かれた二日酔いソング。「昨日は楽しかったな〜飲みすぎちゃったわ〜二日酔い辛いわ~」とでも歌ってるのかと思いきや、歌詞には日曜日の朝に家族もなく一人で目覚めた男の陰鬱な孤独と空虚がたっぷりと詰まっている。 "there's nothin' short of dyin'"と歌われるほど死に近い極限の孤独。目を覚ましたら記憶もなく宇宙空間に一人きりだった、というグレースを表すのにこれほどまでに合っている曲があるとは。 レイ・スティーブンス、ジョニー・キャッシュといったカントリー歌手によって歌われてヒット曲になった。映画では、70年のクリス・クリストファーソンのレコーディングバージョンが使用されている。 2. Pata Pata / Miriam Makeba 過去の回想シーンで、グレースがアストロファージの実験のためにホームセンターに資材を買いに行くシーンで流れているアフリカン全開のナンバー。 タイトルの『Pata Pata』は南アフリカのダンスの導入部分で、現地のコサ語で『触って』という意味でもあるそう。未知のアストロファージを前に、恐怖よりも好奇心が占めている科学者グレースのウキウキが感じられる。 ミリアム・マケバは「ママ・アフリカ」と呼ばれる南ア...

カバーされるビートルズ|オアシスもいっし

リアムの蛸庭にいたく感動した話は以前の記事に書いた通りなのだが、最近ちょくちょくオアシスのビートルズカバーを聴いている。アンソロジーの再発で、90年代のポール、ジョージ、リンゴに思いを馳せているせいかもしれないが、どうにもこの二つのバンドは自分にとって切っては切り離せないらしい。 そうしたら運命的にもブルスコのフォロワーさんがリアムのカバーについて呟いていらして、「よーしちょっと知ってるやつまとめちゃうぞー!」の気持ちでこの記事を書くことにした。(まとめは記事後半に) ついでに、オアシスのビートルズカバーだけでなく ビートルズ曲のカバーという行為の奥深さ” についても少し触れていきたい。ビートルズほど多彩に料理されてきた曲を持つバンドも珍しいので、そのあたりの魅力もゆるっと辿っていくつもりだ。 ビートルズ曲のカバー 『Get Back』の頃にジョージが『Hey Jude』のカバーを聴いたかとメンバーに話題を振っていた通り、ビートルズの曲は活動中から驚くほどの数のミュージシャンにカバーされていた。ビートルズが新曲をリリースすると、片っ端からカバーされ、カバー曲がチャートに載る……そんな時代が、おそらくあっただろう。 『Yesterday』はその最たる存在で、彼らの活動時点で1000ものカバーバージョンが存在した化け物級の曲だ。その後もカバーの数は増えていき、「世界で最もカバーされた曲」としてギネスにも認定されたこの曲のカバーは、今は一体何件になっているはその数を知るのは難しいだろう。 ビートルズ曲のカバーは、その量だけでなく、カバーするミュージシャンの層の厚さも特長的だ。 同じロックミュージシャンだけでなく、ソウル、ジャズ、カントリーという様々な音楽のジャンル、そして言語を飛び越えて世界中のミュージシャンにカバーされ続けている。 フランク・シナトラ自身は初めレノン=マッカートニーの曲だと思っていたという逸話が残る『Something』( https://youtu.be/YcIxxP_pOSc?si=d3nVDPcBd3ITwZnG )をカバーし、ジャズの文脈でこのカバーを歌い紡いでいった。カナダの女性歌手のアン・マレーも70年代に『You won't see me』( https://youtu.be/X4-1ovrXqZ0?si=5yXNv7ZoV3PYn...

リアムの蛸庭を聞けたこと|2025年オアシス再結成ツアー

先の日本公演で、リアムボーカルの『Whatever』​と 『 Octopus's Garden 』 ( 以下蛸庭) を聞けたことは超貴重なことなのかもしれない。 と、Xで見かけたポストを見て考えた。 ( https://x.com/riverponja/status/1984751137988419614?s=46 ) 日本人にとってはCMでお馴染み?のWhateverは、意外にもベストアルバムを除いてアルバムに収録されていないシングルのみの曲。 しかしその知名度は非常に高いし、日本では大手のCM曲に何度も使用されてることでも特に知られた一曲。 00年代にはVAIOやアサヒでも使われていたそうだが、自分のCM曲としてのWhateverの印象はとにかく車。 オアシスなど全く知らない小学生の頃に、おそらくトヨタのマークXのCMを見て曲を覚えていたのだと思う。思えば、洋楽が車のCMに使われる率って多いよね。三菱のCMに昔Laylaが使われていたのを良く覚えてるし、今年?去年?また10年振りくらいに使われててちょっと感動した。 そんなWhatever、この曲、オアシスの曲の中でもちょっと異質な曲だと思っている。 ピンク、ライトグリーン、ブルーといったパステルカラーに彩られたシングル ジャケットワーク、空に抜けるようなストリングスの旋律、リアムの伸びやかなボーカル。 マンチェスター育ちのオアシスの曲にしては、あまりに牧歌的な印象を抱かせる。 オアシスの持つイメージとして、 特に初期の頃であればあるほど、 粗野で無骨な北部の煉瓦とアスファルトに囲まれた工業都市の労働者階級のバンド、というものがどうしても強く感じられる。 しかし、この曲の持つCalmとPastoralさは、都会的な退屈さを振り払い、俗世から離れた田園的な響きを持っている。 まるで、 ウェールズの丘陵地帯の朝霧の中で湿った空気を受ける中、ギターを取って生まれた曲みたいに感じられるような…。 Whateverは、ライブではアウトロにかけてビートルズの Octopus's Garden が演奏されることがあるのはファンも周知のこと。 アウトロにかけては他にも ボウイの『 All the Young Dudes 』が候補になることもある。 94年MTVのアコースティックverでは二人で All the Y...